すべてのこと終え家にたどりついたのは、日付が変わろうという24時丁度だった。
疲労に加え激しい雨が降り始めたこともあり、楽器を車から降ろすのは翌日になりそうだ。
リビングに落ち着いて冷たいお茶を飲んでいる間にウトウトと…汗だけを軽く流し、家族に追いやられるようにしてベッドに倒れ込んだ。
ブログの日付が翌日になってしまう、と一瞬頭をよぎったのだがそうでなくとも既に日付は変わってしまっている。
後のことは睡魔に任せることにした。
たった10時間とは思えないほど長い1日であった。
本番当日の練習は2時間と決めてている。
どれほど不安があったとしても、それ以上の練習は喉を疲労させてしまうのだ。
今日も14時に集合し、ゲストボーカルの鈴木さんは15時からの参加だ。
急遽、彼女のステージ名をヴィーナス鈴木に決めた。
ちなみに私のステージ名はデジタル・ヒロ。
仲間からはずっとヒロと呼ばれているし、昔のバンド時代からこのステージ名が使われてきた。
恥ずかしながら結構お気に入りである。
練習を終えた私は、皆に先立ち駐車場に向かった。キーボードとスタンドを括り付けたキャリアを会場であるParadise cafeに運ばなくてはならない。
この会場は何度となく使っているうえに、エンジニアも変わってないので慣れている。
要所要所のみをチェックする。
リハーサルの調子は悪くないようだ。
声も出ている。
今回はヴィーナス鈴木が客席から聴いてアドバイスをくれるから、これも助かる。
リハ通りに行かないのが本番だが、リキまなければひょっとして大丈夫かも?
17時にはリハーサルを終え、機材を一旦撤収し楽屋に入る。
変わってNatevaのリハーサルが始める。そのままのセッティングでNatevaのステージから始まるという段取りだ。
その間にも我々は、おにぎりとお茶で軽く腹ごしらえをしながら、小声でのコーラスに余念が無い。
ヴィーナス鈴木が歌う、「Venus」と「VACATION」のコーラスがどうにも不安な様子。
私はこの2曲については巧みに逃げてキーボードに専念させてもらっているので、皆のコーラスを厳しくチェックするだけだ。
そうこうしているうちに開場時間が近づく。
ふと入り口を見れば、私のお客さんが既にドアの前で待っておられる。
ベストな席を確保しようと早くお出かけになったようだ。
私の顧問税理士事務所のNさん、Kさん、Kさんのご子息という3人連れ。
このメンバーで毎年来て頂いている。本当にありがたいことだ。
特に高校生のご子息にとっては、カビの生えた音楽にしか聴こえていないだろうに・・・と申し訳ない気持ちにすらなってしまう。
開場を待ち、彼らをエスコートし、私は楽屋に戻る。
楽屋の前の通路をぼちぼち客が通り過ぎるのがガラス越しに見える。
その都度、誘いを掛けたメンバーが走り寄り挨拶を交わす。いつもの光景。
私も気になって客席に足を踏み入れてみた。
すると、もう一組声を掛けていた知人達が後方の席に陣取っているのが見えた。
それは、以前このブログでも紹介したビア・バー”えび寿”のMさんと、Mさんの元上司であるAさん、更にはMさんの友人H君という3人組だ。
Aさんの職場は、今日の開場Paradise Cafeと同じ今池なのだが、この店に入るのは3人とも初めてとか。Mさんはキーボードを弾き、A君は元バンド仲間でヴァイオリンを弾くという。
若い彼らに、私達の音楽(60年代)がどう聴こえるのか?
尤も、私にとってもビーチボーイズは決してリアルタイムではないのだが・・・・・
聞けばM君、私の大学の後輩になるのだそうで、急に親しみをおぼえる。
彼らは既にアルコールが進んでおり、雑談にも花が咲く。
そろそろ本番が始まるので楽屋に引き上げようとした時、目に入ってきたのはS社長だ。
S社長は名古屋で最大の税理士事務所の経営者。
税理士、弁護士を何人も雇っているコンサルティング事務所を経営している大物である。
私はこの春から知人の紹介で出会い、なんとかビジネスに繋げたいと思っているのだが、なかなか決め手が無い。
以前、一緒に飲んだ席で彼が音楽好きでギターを弾くことを知った私は、仕事の席上、ダメもとで私のバンド活動を紹介し今回のライブの案内を試みた。
早速、スケジュールを確認されたが残念ながら宴会のスケジュールが入っているという。
その後は仕事の話よりも音楽の話で盛り上がってしまった。
ではまたの機会に・・・という結論に達したのだが、なんとその彼が姿を見せているではないか。
私は彼に駆け寄り挨拶をした。
どうやら宴会はキャンセルしたらしい。
「こっちの方がどう考えても面白そうだから」とも言ってくれた。
感謝、感謝!
さてNatevaのステージが始まった。
相変わらず上手い。
フラのダンサーさんも実に良いのだ。
またこのバンドリーダーの加藤さんの名古屋弁たっぷりのMCが客の笑いを誘う。
ま、我々はノリで勝負するしかないだろう。
今日のセットリストは下記のとおり。
さあ、笑顔で行こう!
セッティングを終え、ビデオの準備もOKのようだ。
「Do It Again」のイントロはキーボードのソロだ。
私は全員が準備OKなことを確認し、歪んだ音でエイトビートを刻み始めた。
4小節後にギターとピアノが加わりさらにその2小節後ドラムとベースが加わり安定感が増す。
そしてリードボーカル高瀬さんの出番である。
サビからは全員のコーラス・・・・私だけは別のメロディをファルセットで歌い上げる。
Kさん提供 |
この曲では、キーボードの左半分を歪んだオルガン音、右半分をホンキートンク調のピアノという「Split」という機能を使って、私は二役をこなす。
コーラスも、リキまず、リキまず・・・・なんとか歌えてるか?
Kさん提供 |
ビールを飲むピッチも早い。
案外良いスタートがきれたかな?
「Little Honda」「Little Duce Coupe」もノリの良いロックンロールになっている。
やはり、アコースティック・バージョンではこうはいかない。
しかし私のブルースハープは今一つモニターが聞こえにくく、自分でも正確な音程がだせているか微妙な感じ。ベンドの程度が良く分らないのだ。
「Surfer Girl」は実に気持ちよく歌えた。
バックのハモに若干固さが残っていることは感じていたが、気にしていたのではソロボーカルはできない。
お客様の視線が私に集まっていることも、落ち着いて確認できる。
惜しむらくはエンディングのコーラス。トニック、5th、Maj7、9thというちょっと複雑なハモなので、なかなか難しいのだが、今日もやはり結果は「難あり」。
いきなり9thの音を出すのは想像以上に難しい。ガバリ君、頑張っておくれ!
しかしお客様の反応は絶大だった。
Aさん提供(美女なし) |
ヴィーナス鈴木が入るステージは一曲めに「Don't Worry Baby」を持ってくることに変更した。
Aさん提供(美女つき) |
さあ、次の2曲(Venus,Vacation)は私はキーボードに専念。
こうなったら、ハモっていようがハモってなかろうがどうしようもない。
私はカッコいいキーボードフレーズをその場でインスピレーションできるかどうか・・それのみだ。
特に「Venus」は原曲を無視し、自由に弾きまくる。
自分なりに「抽斗」は幾つか用意してあったつもりだった。
しかし、いざ本番になると、「どこにどんな抽斗があるか?」定かではなくなり、結局は目につき易い「よく開ける抽斗」ばかり開けてしまうことになる。
結果的には自己評価として60点程度だろう・・・・・もう少しこの手の研鑽を積まなくては。
結局は個人練習不足という一言なのだろう。
しかし、普段のこのバンドでは味わえない緊張感を味わえて、個人的には実に面白かった。
「California Girl」からの後半は手馴れた曲ばかりで、いかに楽しんで演奏できるか?だけだ。
特に後半になってからは、肩の力も抜けて、全員が楽しんでいるのが良く分る。
「Sloop John B」のアカペラコーラスも声は出ている。
Kさん提供 |
「Help Me Rhonda」のノリも練習と同様のノリが確保できている。
この頃から、最後尾にいるMさんの手拍子が頭上遥か上で打っているのがステージからも良てとれる。後から確認したところ、やはりMさん「久しぶりに縦ノリしちゃった!」とか。
本当なら、実に嬉しい話だ。
「Barbara Ann」のキーボードソロも案外指が走ってくれた。
さあ、そして最後の「Surfin U.S.A」では客のノリもピークだ!
この曲で乗せられなかったら、これは大失敗のライブということになる。
しかし、今日のお客さんはノリが良い。
こちらもまたそれに乗せられる。
会場は熱気で一体化している。
熱気冷めやらぬ間にアンコールの「Fun Fun Fun」だ。
さらに開場は熱くなる。
Baechboysの曲は一曲一曲が短いので辛い。
長くて3分。殆どの作品は2分台。
盛り上がった時など、「もっと長ければ良いのになぁ・・・」と、残念に思う。
惜しむかのようなエンディングで演奏を終えた。
私はマイクを取り、来場していただいたことへの感謝を述べ、また来年もというお願いを申し上げ、少し会場を冷まることにした。
その間にはNatevaにもステージに上がってもらい、「思い出の渚」をSing Outするという最後のプログラムである。
私は、マイクで歌詞をリードした。
見える限りの人達は皆歌っている。(もちろん、一定の年齢以上の人達という制限つきではあるが・・・)
僕達の夏はこうして終わった。
その後、ヴィーナス鈴木も加えたバンドの打ち上げで盛り上がったのは言うまでもない。
私を含めてノンアルコールビールは3人だ。車で楽器を運んでいるからやむを得ない。
しかし美味しかった。
その席上、一つ、ちょっぴり素敵な話を耳にした。
お客様の一人が帰りながらこう呟いていたそうな。
「あ~ぁ、これで夏も終わりかぁ~」
「Barbara Ann」のキーボードソロも案外指が走ってくれた。
Kさん提供 |
Kさん提供 |
さあ、そして最後の「Surfin U.S.A」では客のノリもピークだ!
この曲で乗せられなかったら、これは大失敗のライブということになる。
しかし、今日のお客さんはノリが良い。
こちらもまたそれに乗せられる。
会場は熱気で一体化している。
熱気冷めやらぬ間にアンコールの「Fun Fun Fun」だ。
さらに開場は熱くなる。
Baechboysの曲は一曲一曲が短いので辛い。
長くて3分。殆どの作品は2分台。
盛り上がった時など、「もっと長ければ良いのになぁ・・・」と、残念に思う。
惜しむかのようなエンディングで演奏を終えた。
私はマイクを取り、来場していただいたことへの感謝を述べ、また来年もというお願いを申し上げ、少し会場を冷まることにした。
その間にはNatevaにもステージに上がってもらい、「思い出の渚」をSing Outするという最後のプログラムである。
私は、マイクで歌詞をリードした。
見える限りの人達は皆歌っている。(もちろん、一定の年齢以上の人達という制限つきではあるが・・・)
僕達の夏はこうして終わった。
その後、ヴィーナス鈴木も加えたバンドの打ち上げで盛り上がったのは言うまでもない。
私を含めてノンアルコールビールは3人だ。車で楽器を運んでいるからやむを得ない。
しかし美味しかった。
その席上、一つ、ちょっぴり素敵な話を耳にした。
お客様の一人が帰りながらこう呟いていたそうな。
「あ~ぁ、これで夏も終わりかぁ~」
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