さすがに手術前は緊張していた。
というより、正確には、手術時間がはっきり告げられない為に、不安と所在無さがない交ぜになったものだったろう。
妻と冗談で「執行を待つ囚人の気分」と話をしていた。
だからむしろ「3時半に決まりました」と言われてからは落ち着いた。
ところが、予定の45分前になり「早まりました。今からです。」と告げられた時には慌てるしかない。
それまでの普段着のまま、スタコラ看護師と歩いていく。
妻とはオペ・エリアの前であっさりバイバイだ。
名前と生年月日を確認して、いよいよオペ室に。
スタッフが5~6人も居たろうか?
その中の一人が「宜しくお願いしま~す」と気楽に声を掛ける。くだんの主治医だ。私も反射的に「お願いしま~す」と返す。
看護師が「ここに座って下さ~い。」
思わず、「え?ここ?このままの格好で?」ドラマで見る厳かな雰囲気と余りにかけ離れている。
私は狭いベッドの上に足を投げ出して座り、上半身の洋服を脱いだ。
一人の看護師が私の左手を取って「点滴打ちますよ~」
「ウァオー!」予想を超えた痛さに思わず、冗談混じりの声をあげた。
「手術の点滴はちょっと太いですからね。入れてきますね。」
私が覚えているのはここまでだ。
次の瞬間はドクターからの「終わりましたよ~!」だった。
神経とその周囲の靭帯組織が癒着して痛そうで、痛かったのも無理はないそうだ。
思わず、ドクターと握手した。
妻に確認したら、40~45分程度かかったらしい。
さて、この後に地獄のような時間帯が待っていようとは、この時思わなかったのである。
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