寝不足だ!
四人部屋でしかもオッサンばかりなので覚悟はしていた。
しかし、それは尋常では無かったのだ。
普通のイビキなら多少は許せるが、そいつは違った!
「絶対に無呼吸症候群だ」
暫く無音が続いたと思ったら、突然フグヮー!と獣の雄叫び。
そのあと、酸素を取り戻そうとばかり、必死な細かい呼吸が少し続くのだが、また無音に・・
聞いているほうも気が気ではない。
規則正しければ多少ましだが、結構不規則。予想もつかない(予想つけなくても良いとは思うのだが・・)のだ。
四人部屋でしかもオッサンばかりなので覚悟はしていた。
しかし、それは尋常では無かったのだ。
普通のイビキなら多少は許せるが、そいつは違った!
「絶対に無呼吸症候群だ」
暫く無音が続いたと思ったら、突然フグヮー!と獣の雄叫び。
そのあと、酸素を取り戻そうとばかり、必死な細かい呼吸が少し続くのだが、また無音に・・
聞いているほうも気が気ではない。
規則正しければ多少ましだが、結構不規則。予想もつかない(予想つけなくても良いとは思うのだが・・)のだ。
自分の知識レベルを超えた本を読むと眠くなるという習性を利用して物理学の本を読んだが、それでも眠くならない。
クソッ今日は妙に物理が頭に入るぜ!
こいつ整形外科じゃなくって、別の診療科に行けよ!
質の悪いことに、そういう奴に限って寝付きが良いときているから堪らない!
こりゃ、明日以降も心配だ。
クソッ今日は妙に物理が頭に入るぜ!
こいつ整形外科じゃなくって、別の診療科に行けよ!
質の悪いことに、そういう奴に限って寝付きが良いときているから堪らない!
こりゃ、明日以降も心配だ。
朝食後ドクターWが回診に来た。
術後から何となく感じていた左足の違和感について話をした。
術後から何となく感じていた左足の違和感について話をした。
左足の甲の感触が術前と比べ、また右足に比べ明らかに鈍い感じがするのだ。
勿論、看護師にも理学療法士にも伝えてある。
ドクターWにも話してあったが改めて話をした。
特に左は癒着していたので、神経にも触ったのだという。
やむを得ない処置ではあるが、何らかのそれの影響だと考えられるとのこと。
「たまに会う姪っ娘だと思って下さい。」
その心は?
「毎日見てると成長って分からないもんでしょ?」
その心は?
「毎日見てると成長って分からないもんでしょ?」
お後がよろしいようで!
それだけ時間をかけて観察していかなければいけないということなのだ。
使いまわしの定型句を使ったのか、文学的才能が有るのか良く分からないが、即座に納得した。
使いまわしの定型句を使ったのか、文学的才能が有るのか良く分からないが、即座に納得した。
彼が仕事してたのはそこまで。
ドクターの視線が、私の読んでいたプログラミング関連の書籍に止まった。
ドクターの視線が、私の読んでいたプログラミング関連の書籍に止まった。
「あれー!本当にエンジニアだったんですね?」
「そりゃ、そうですよ。せっかく時間があるんだから勉強しようと思いましてね」
医者のIT好きは私もよく知っている。
そこから二人の私的な会話が始まった。
私の職歴に始まって、実は去年は二度も海外旅行の予約をコイツ(腰)のお陰でキャンセルする羽目になったこと。
私が無類のイタリア好きであることを告げるとドクターもそうだという。
「イタリアへはいつもミラノから?ローマから?」
「そりゃ、ローマでしょ?何度行っても良いですからね!」
話は一気にイタリア談義、そしてヨーロッパ談義へと向かった。
勿論、彼の場合は学会での仕事であることは明確だ。
43歳、いい年頃だ。比較をしては失礼だが、私が当時勤めていた会社を飛び出す前の歳ということになる。男が生涯で一番良い仕事ができるのは、正にこの年齢なんだろうと思う。
奥さんも勤務医をしており、夫婦での海外旅行などは考えられないとのことだ。
そして話は社会文化論に・・・面白い話が聞けた。
海外の医者からすると相当日本という国、日本人という民族は特異に映っているらしい。
極東のそのまた端っこの国が、結構先端的な医療に挑んでいて、それはアジアという括りでは語れないものを持っているし、中国とは全く違うということを、彼らは明確に解っている。
ところが、実際に日本に来てみると、誰も英語すら話せない。そのギャップが特異なのだろう。
「日本に住んでりゃ英語なんて必要ないですもんね!」
ヨーロッパ全土のモダリティ(CT,MRI等の画像診断装置)の全台数と、日本の全台数はほぼ同数なのだそうだ。
また、ヨーロッパの医療では何かあれば、即ドイツということになるらしい。
ヨーロッパ全土のモダリティ(CT,MRI等の画像診断装置)の全台数と、日本の全台数はほぼ同数なのだそうだ。
また、ヨーロッパの医療では何かあれば、即ドイツということになるらしい。
予測通り、彼は名古屋大学の出身であり今もその影響下にある。その関係で海外での学会への参加、講演のチャンスを得ているのだという。
「そのことに私自身は誇りを持っているし、日本からもっと海外に発信していきたいですね。そういう意味では医療ツーリズムなんてこれから日本の基幹産業に十分なり得ると思いますよ。」
「その意見には私も大賛成。私が昔よく出入りしていた名古屋K病院でも・・・」と言うと
「名古屋K病院、私昔ちょっと居たんですよ!トップが先輩でもありますしね」
そこから話題は名古屋K病院に・・・・
そして、自然と人工透析の話題に・・・
「人工透析、殆ど自己負担なしでやってるの、日本ぐらいなもんですよ!」
彼の持論によれば、「自業自得」なのだとか。なかなか辛辣である。
確かに透析患者の大部分は糖尿病性腎症から来るのだから、多くは当たってる。
「だから保険制度が赤字になるのは当然ですって!」
「だから保険制度が赤字になるのは当然ですって!」
「で、腰治ったら、今度はどこ行くんですか?」
「今度はポルトガル!食べ物が美味しいんだって!」
「へぇ~!良いなぁ!ポルトガルは行ったことない」
「じゃ、帰ってきたら土産話お聞かせしますよ」
「3月には行って貰って全然構わないですからね!」
「え?3月に大丈夫なの?」
「全然、大丈夫!」
自信満々なドクターとの会話を楽しんで元気を貰った午前中だった。
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