2014年5月7日水曜日

還暦爺さんの冒険旅行 ~6~ アッシジからコルトナ



目覚めたら、やはり田園風景は窓から広がっていた。
幸せな目覚めである。
今朝もこんな景色でおめざ

ゆっくり朝食に向かう。
食事を終えたドイツ人客が出て行って、広いレストランには私達二人だけ。
「こんな良い所、もったいないなぁ!」



食材は豊富に並んでいる。
田舎のホテルなのに、スクランブル・エッグやベーコンが有ったのには驚いた。
もちろん、ハム・チーズ類は豊富にある。
ただ、ローマもそうだったが、パン類がやたら甘いものが多い。
甘くないパンと言えば、固くて刺歯が折れてしまいそうな物だけ。
クロワッサンもプレーンな物が無く、ジャムやチョコレートが入っているものばかりで、いささか飽きてきた。


例によってカプチーノを3杯程お代わりした。

部屋に戻って荷造りをし、早々とチェック・アウトすることにする。
その上で車を預かってもらい、午前中はアッシジ旧市街を観光する予定だ。
ホテルのラウンジ

素晴らしいホテルでした


出掛ける前にフロントで、帰り道を教えて貰った。
とにかく、道は全て一方通行なので、間違えたらエライことだ。
昨日登って来た道を、そのまま東に向かい、ある教会の前で右に回り込み180度方向を変え街を下って行くのだそうだ。

帰り道の下見を兼ねて、今朝はホテル前の道を右方向(東向き)に歩いてサンタ・キアーラ教会を目指して散歩する。

車で方向転換するべき場所に着いたので、私は少し歩いて下り道を確認した。
問題無さそうだ。


この教会前の広場で方向を180度変えます

朝のアッシジと麓


キアーラは聖フランチェスコに心酔し、彼と共に生きた修道女である。
フランチェスコの最期も看取ったという。
サンタ・キアーラ教会の地下
青い天井が特徴的
サンタ・キアーラの遺骸ということですが



キアーラが来ていた僧衣

キアーラが来ていた僧衣
キアーラ教会独特のアーチの支え
ピンクの石が特徴的です

教会前の広場


そんな関係で、この街を歩いていると、修道士、修道女をよくみかける。
なかにはスマホで自分撮りしている修道士も居たのだが・・・・

何故かデビッド・ボウイに似ているのでした
サンタキアーラを観終わって、昨日レストランを紹介して貰ったお土産屋に入った。
お目当ては「聖フランチェスコのフィギュア」である。
やはり小鳥と一緒にいる小さな聖フランチェスコを買った。
昨日、レストランを紹介してもらいました。右の通路にはメニューも・・・・ホラッ

フランチェスコ通りを昨日とは逆に西方向に進んだ。
昨日はしつこく誘われたレストラン

街ではそういった物を沢山売っています。
右の二体は法皇様


もう団体客が訪れています。中国人でしょうか?

コムーネ広場


コムーネ広場にミネルヴァ神殿。

ミネルヴァ神殿の中は実は教会になっています。
豪華な天井




通りから時折、素晴らしい景色が顔を出します。

サン・フランチェスコ通り

圧倒するサン・フランンチェスコ聖堂


今日はガイドブック片手に28枚の「聖フランチェスコの生涯」をテーマをゆっくり確認しながら観て回る。
イタリア人巡教団、ドイツ語圏の団体客、アメリカ人等が多い。
下層部に降りていくと、今度は全く雰囲気の異なる礼拝堂が広がっている。
イタリアの中学生が一杯居た。
私達は出口でカトリック教会のカレンダーを購入し、ホテルに戻った。



フロントで鍵を受取り、さあ出発。
Garminに次に行くコルトナのホテル(Hotel S. Luca)をセットした。
下見がしてあるので、アッシジの街を麓に降りる事は難無くできた。
名残は尽きない。
巡礼の街アッシジに別れを告げる。
さようならサン・フランチェスコ!


さようなら、サン・フランチェスコ聖堂


さようなら、アッシジ

アッシジからコルトナまでの距離は短いので直ぐに着くだろうと何の疑いも持っていなかった。



ペルージャを抜けトラジメーノ湖の北岸を西に進み、湖と分れる頃に右折してコルトナを目指す。
トラジメーノ湖を決して見せてくれない

さあ、ぼちぼちの筈なんだけど

もう少しだと思っていたら、Garminはとんでもない所に我々を連れてきてしまった。
コルトナの麓にあるカムチアという街にある Hotel S. Luca に連れて来たのだ。
しかも、Garminが指し示す所にホテルらしい建物なんぞ存在しない。
やられたー!
どういうことだろう?
こんな所に過去にもホテルがあったとも思えない。
ひょっとして、会社組織にでもなっていて、登記上の本社がこことか?
まぁ、理由はともかく何とかしなくてはならない。
小雨も降りだし、暗さが不安をかき立てる。

カムチア駅に車を停め、駅前でお喋りに興じていた爺さんに尋ねてみる。
イタリア語でチンプンカンプンだったが、コルトナはこの先のラウンド・アバウトで左に行け、と言っているようだ。
私は礼を言って、車を出した。

言われた通り左方向に行くと、交通量の多い道路に出た。直進はできなかった。
仕方なく左折して進んでいくと、カムチアの街からも離れ、コルトナの方向でもない。
落着いてGarminの確認が出来る場所が欲しいのだが、なかなかそんな場所も見つからずに、どんどん車は離れていく。

ようやく反対車線側に駐車場を大きくとったお店が見つかったので、停めさせてもらった。
ホテルの通り、コルトナの名所等をGarminで検索してもさっぱり見つけられない。
この間にすっかり二人ともGarminに不信感を抱いてしまった。
少なくともGarminが持っている施設情報はアテにならない、ということだ。
スマホも反応が鈍くて、動きながらでは全く使い物にならない。
Garminで唯一、コルトナの市役所が検索できた!
そこを目指そう!
とにかく、山の上を目指して車は進んだ。
これがコルトナの街


古い街並みが間際まで迫った頃、観光客用の公営駐車場があったので、取り敢えずそこに停めて、スマホでホテルを確認する。
しかし、細い道な上に曲がりくねっている。
少しずつ、少しずつ前進させることにした。
二回目の確認地点に停めると、Googleのストリート・ビューで見た景色と似ている。
妻が降りて、確認に行くと、100m前方に目指すHotel S.Lucaは有った。
ホッ!!

ホテル前の駐車場に車を駐車しチェックイン!
適当な感じのオヤジだが愛想は良い。
Golfは素晴らしい車だ!と誉めてくれた。

なかなか収容力の有る大きなホテル。
部屋も眺望がよく、田園風景が眼下に広がる。
今日の苦労が報われるというものだ。
部屋からはこんな景色が。はるか遠くにトラジメーノ湖

いつも通り、小休止の後は街の散策。

このコルトナは特に目を引く名所旧跡があるわけでもなく、街そのものを楽しみたかった。
しかしそれは、大正解なようだ。
中世の街並み
街の建物の色は全体にグレーがかっている。
観光客は個人旅行客のみだろう。
中世の街には靴屋、八百屋、ギャラリー、洋服屋、本屋、スーパー・・・・が並んでいる。




これらのカード欲しかったが、恐ろしく高価でした

見事な水彩画

もちろんこれでも絵になります
ほらね、一番絵になる場所らしい??

アッシジが宗教都市であり、観光客とそれを迎える人が中心で、夜になればひっそりしてしまうのに対して、このコルトナには生活感がある。
どうやら、麓の街で働いてきた人が、仕事帰りに街で食材を買って自宅に帰って行く。
そんな普通の街の息遣いがとても楽しい。

我々も得意のSPARでガス入り水を買って飲みながら街を散策。
妻は「乾燥ポルチーニ茸」の値段チェックにも余念がない。
中世の街で、普通の生活・・・・・何とも言えない幸福感に満たされる。
移動の時の緊迫感が嘘のようだ。





コルトナの市庁舎



夕暮れ時に西の端、墓地かと・・・・
さっき、メニューを確認したPizzeriaの前を再び通ったら、オネエチャンが愛想良く、手を振ってくれる。
ここまでしてくれたら、入らないわけにはいかないだろう。
外はそろそろ寒くなって来ているので、お店の中に席をセットしてもらった。




先ずはオリーブのピザを注文。
このオリーブがやたら美味しかった。
私達は「日本じゃ、こんな美味しいオリーブ手に入らないんだよね!」
と言ったら、オネエちゃん、やおら台所からオリーブの缶詰を持って来て差し出し、プレゼントしてくれると言う。
美味しかった。
でもイタリアでも他では売ってなかった。


ホントに?良いよ!ホントに?勿論!
感動して、グラッツェ!グラッツェ!
そしたら、台所からお兄さんまで出てきて「そんなに気に入ってくれたんなら僕からも一缶プレゼントするよ」とテーブルに置いた。
いやはや、グラッツェ!グラッツェ!
お兄ちゃんはお店の御主人で、オネエちゃんは奥さんとのこと。
奥さんは僕達の席に陣取って話し始める。
実に陽気なオネエちゃんでした

大好きなカプチーノ


「私も日本に行ったことがあるのよ。東京、京都、大阪にいったわ!とてもファンタスティックだった」
と日本がお気に入りらしい。

「ところで貴方達は何故コルトナに来たの?Movie? Book?」
私が「Movie」と言った途端「Under the Tuscan Sun?」
「Yes! That's Right !」
早くもネタバレしてしまった。

実は、「トスカーナの休日」という映画を観て、私はこのコルトナに来てみたかったのだ。
アメリカ人女性が傷心を抱えて、コルトナ旅行に来た。街がすっかり気に入った彼女は、この街の古い家発作的に購入し、徐々に地元の人達と交流を深め、人間としての自信を深めていく・・・みたいなあらすじ。
おそらく、コルトナを舞台にした映画はこの作品だけだろうと思う。

「じゃあ、君は?」と尋ねたら
「私は本で読んで京都に行きたくなった」と言っていた。

ピザだけでは物足りないので、メニューを見ていたが大好きなポルチーニ茸を使ったパスタが無さそうだ。
「ポルチーニを使ったパスタは無いの?」と尋ねてみたら、
ご主人「う~ん、メニューには無いんだよね・・・・よし、待って!何とかするから」
と言ってエプロンを取って店の外に行った。
暫くすると袋をぶら下げたご主人が返って来て、料理を始めた。
出てきたのはポリチーニ茸とチーズを使ったパスタだ。

お店には無いメニュー

ひたすら、感謝!感謝!である。
きっと自宅に帰って、材料を持って来たのだろう。

皆で写真を取って大騒ぎ!
楽しい一夜だった。


床にはPuntoのモザイク



比べるべくもないが、財布を盗んだイタリア人とは大違い。
こんな人の良いイタリア人が大好きだ。

腹ごらしにもう少しだけ散策して帰るとしよう。



随分日が暮れてきました。9時頃?








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