昨日のツアーが終わった後、ガイドの大場さんに私たちの身の上に起こったことを話して相談してみたところ、My Busの事務所にJCBプラザが同居しているので、来てみては如何ですか?と助言を貰っていた。
今日は開き直って一日トラブル対応処理に費やすことに決めていた。
ホテルからリプブリカ(共和国)広場までは歩いて行ける。
JCBの係員も直ぐに話を聞いてくれ、私のJCBカードは直ぐに無効処理をしてくれた。
ついでに、コレクトコールなので、他のカード処理も行いたいから電話を貸してほしい旨を申し入れたが、それはできないと言う。
公衆電話の掛け方を教えてくれ、近くにあるローマ三越の地下に行けば安心して公衆電話が使えると言われたので、すぐ近くの三越に向かった。
店内に入って、公衆電話を借りるために事情を話すと、なんとその女子店員(日本人)は「では、こちらにいらして下さい」と店舗の電話の前まで誘ってくれた。
「どちらのカードでしょうか?」と尋ねられたので、カード名称を告げると、さっさと電話をかけ「ではご本人様と代わります」と受話器を渡された。盗難に逢った日時と場所、その時の状況を話しスムースに無効処理が済んだ。
「ありがとうございました!」
「他にはカードはございませんか?」
「あ、あと二種類・・・・」
「どちらのカードですか?」
・・・・・・
何と、何時間も悩んでいたことが嘘のように処理されてゆくのだ。
やはり一種類のカードは既に日本円にして4万円程の不正使用がされていた。
しかしこれも保証されるとのことで一安心。
もちろん警察への届けが必要なので、警察の場所を尋ねると、店の外まで出て丁寧に教えてくれた。
私達は丹下さんというその日本人店員の応対に感動し、その謝意を伝えると「いいえ、毎日のことですから!」とケロッとしたものだ。
丹下さんご自身も地下鉄では気をつけているし、バッグなんぞダミーに考えた方が良いとの助言も頂いた。
つまりバッグには盗まれても良いものを入れ、本当に大切なものは身体により近い所に持っておくのが良いのだと。
警察署に行くと、昼休みで一時間休みだという。
仕方なく近くのUNA HOTEL(昨年利用したホテル)で一休みして、再度警察署に向かう。
「Japanese」と伝えると、日本語表記の盗難届用紙を手渡してくれた。
記入するための待合室に入ると、東洋系の夫婦が一組暗い表情で用紙に書き込んでいる。
日本人かな?と思ったが少し違う。後でカザフスタンだと分かった。
そのうち、黒人男性が一人、オランダ人母娘が一組入ってきた。
互いに、どこの国から来たか?どこで何を盗られたか?などと情報交換が始まった。
妙な国際交流である。
暫くすると、明らかに日本人と思われる若い夫婦が飛び込んできた。
どちらからともなく「日本の方・・・ですよね?」と声を交わす。
彼らはトルコから昨日イタリア入りしたそうだが、やはり地下鉄で盗まれたそうだ。
奥さんが混んでいる地下鉄に乗ろうとしたら、乗っている人に弾き飛ばされホームに倒れた。気が付いたらバッグのファスナーが5センチほど開いており・・・・
イタリア語の用紙記入に手間取っていたので
「日本語の用紙ありますよ。Japaneseと言えばそれくれますから」
と助言すると直ぐに取りに行った。
ほどなくもう一組の日本人が。
青森から来た母親と二人の娘という3人連れ。
この人たちも地下鉄で被害にあった。
もうこうなると日本人同士の情報交換の場と化してしまう。
二組ともタクシーにふんだくられたらしい。
青森の親子は空港からの正規なタクシーに乗る前に、料金をきちんと確認し紙にまで書いて乗った。停車しお金を払う時になって、手渡した紙幣を誤魔化されたそうだ。
つまり紙幣を渡すときには、渡す前に相手の目の前で全額を見せ確認させた上で手渡さなければいけないということである。実に良い教訓を得た。
彼女たちはその上に、地下鉄で盗難に逢うのでは「何に乗ったら良いの?」と嘆くことしきり。
彼女たちは被害に逢う前にも、あからさまにポケットに手を入れられる経験もしたようだ。その時には娘さんがピシャリとその手を引っぱたいて何を逃れた・・・のに。
やはり女性だけのツーリストということで目をつけられ易いのかも。
しかし、同じ被害者同士で情報交換ができ、かなり気分的にも軽くなった。
一緒に警察署で出て別れた。
私たちは、今後の滞在費用のねん出の為、更なる情報を入手することに。
まずは街の両替所のレート確認だ。
くだんの丹下さんから比較的評判の良い両替所の場所を聞いてあったので、実際に足を運びレートを確認。
手持ちの日本円でも足りなかったらどうしようか?ということになり一度大使館に行ってみようということになった。
大使館への道すがらということもあって、再度三越を訪れると、ちょうど中国人団体客が大挙して押し寄せて来ている。
丹下さんも「ニィハォ!」と応対に忙しい。
お客が全員店内に入ってしまうのを見計らって、経緯を報告。今から大使館に向かうと告げると、今度もまた店の外にまで出て場所を説明してくれる。
その時、歩道で喋っていたビジネスマン風イタリア人二人連れを示し「ああいう人にくれぐれも気を付けて下さいね。ああいうのが怪しいですから」
その時には私は一般論としてその話を受け入れていた。
大使館では何ら収穫は無かった。
日本人が盗難に逢おうが、大使館としては何もしないとのこと。
日本からの送金方法を教えてくれただけだ。確かにその方法だと30分程度で送金できる。
でもそんな方法はネットで既に知っていた。
まぁ、考えてみれば当たり前のことかもしれないが、門の脇の事務室で電話越しに話をするだけという雰囲気にも腹が立った。顔ぐらい見せたらどうよ!
ま、こんなものか?
と思い大使館を出てみたら、何と前方から二人連れ!
さっき、丹下さんが教えてくれたビジネスマン風イタリア人二人連れである。
さっきと同じ雰囲気でまだお喋りを続けている。
私たちは、自然を装って道の反対側の歩道に渡り、何気なく彼らと10m離れてすれちがった。
その後、ホテルへの帰り道も時々靴ひもを治すふりなどしながら振り返ってみたが、彼らはもう来なかった。
それにしても不自然だ。
三越から大使館までの道のりは距離はないが何度か交差点を曲がる。
しかも日本大使館周辺は高級住宅地でビジネスの場という雰囲気ではない。
何の用でこんな所まで来たというのか?しかも同じ雰囲気で喋り通しというのも如何にも不自然だ。
丹下さんの話しは決して一般論ではなく、彼らは常習犯だったと確信した。
ローマ三越さん、凄い!
丹下さんありがとう!
さて、あとは妻のカードでキャッシングができるか?という問題だ。
日本に居る娘に電話をし、事情を話し、妻が管理しているノートを見てもらった。
カード名称の近くに4桁の数字があると言う。
しかし妻はその数字に全く覚えが無いと言う。
しつこく尋ねる妻に娘は怒り出してしまう。
こうなったら、その番号で試してみるしかない!
再びホテルを出てテルミニ駅のATMを探す。
明るい地下街にあるATMを見つけて試してみた。
暗証番号を3回失敗するとカードが使えなくなるという恐怖感から、暗証番号の候補を二つに絞ってきた。もちろん最初は娘に探してもらった番号である。
恐る恐る操作を進める。
私は周囲を見渡し防御に備える。
ヤッター!一発でOK!
取り敢えず250€を二回引き出し、500€を確保。
これで一安心!どの街に行ってもキャッシュが引き出せる。
めでたし!めでたし!
ホテルに帰って、貴重品の分散方法を再考しなければ。
それにしても、今日は貴重な体験をした。
そして如何に自分が油断していたかを思い知った。
初めての頃は、慎重に慎重に考え、ガチガチになるほど用心をしていたが、回を重ねるに従い気の緩みが生じていたのだろう。
深く反省した。
明日からはレンタカーを駆っての旅が始まる。
それにつけても、あの暗証番号、何からきている番号なのか皆目わからないそうだ。
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