しかし、心ゆくまでオルチャ渓谷の景色を楽しむことだけは忘れない。
フロント横にあるレストランで朝食。
レストランの外も眺望が素晴らしい。
妻はカメラを持ったまま、なかなか帰ってこない。
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遥か遠くにモンテプルチャーノの街が見える |
なんと、珍しく目玉焼きがあるではないか?!
思わず私は二つも手に取ってしまった。
イタリアでスクランブル・エッグはあっても、目玉焼きは初めて。
横で妻が馬鹿にする「わざわざイタリアまで来て目玉焼きを食べる事はないでしょう?」
本人は何種類ものチーズを「美味しい!美味しい!」と言いながら食べている。
私もチーズ好きな人種だが、ここ数日胃が欲しがらない。
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甘味の少ないものは? |
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ツーリング客です |
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Piccolo Hotel |
自転車ツーリングで宿泊した人達が二組も居た。
男性も女性も皆、精悍な身体つきである。
このオルチャ渓谷を自転車で巡っているのだ。
そう言えば、車で走っていても時々見かけたものだ。
気持ちはさぞかし良いんだろうなぁ・・・・しかしアップダウンのこの渓谷では体力も相当必要とされるはずだ。
昨日ピエンツァの街も充分に堪能したし、今日はローマまでの長旅。
チェックアウトを済ませ即出掛ける事にした。
まず、最初の目的地は昨日偶然見つけてしまったChappella di Vitaletaだ。
昨日確かに見えてはいたが、そこに到る道は分らなかった。Garminに分るか?という不安を持っていた。
実はこの「Chappella di Vitaleta」と「美し過ぎる糸杉」はもちろんGarminの持っている海外施設情報などに乗っている筈もない。
しかし、絶対に行きたい。
何故ならば、私にとってこの二箇所は「これがオルチャ渓谷だ!」と言わんばかりの象徴的な存在だからである。
仕方ないので、日本にいる間にPCでGoogleMapとそのストリート・ヴューを利用して場所を特定させた。
その特定された場所の緯度・経度をGoogle Map上に表示させ、それをGarminに登録させて来たのである。
その緯度・経度がどの程度の精度なのかは分らないが、頼りはそれしか無い!
SR22に向かう道路から左折する指示が出た。
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ここで左折してChappella di Vitaletaに向かいます |
そのT字路の30mくらい手前に少し車が停められる場所があり、数台の車が止まって写真を撮っていた。
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車の中から取ったので、何やら写り込んでます |
私達もその場所に車を停め、外に出て景色を楽しんだ。
周りは360°のオルチャ渓谷!濃い緑、比較的薄い緑、青い空、白い雲しかない。
なんという景色なのだろう。
やはり、人生を考えさせてしまう風景である。
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ピエンツァの街がはるか遠くに見えます |
写真を何枚も撮り、そろそろ車に戻ろうとした時、PUNTOが停まり、中から東洋人ご夫妻が出てきた。
どちらからともなく話しかける。
「韓国から?」
「いいえ、日本からです。あなたは?」
「台湾からです」
お二人ともにこにこと非常に愛想が良い。
何と、彼らはイタリアを45日間旅行しているのだそうだ。
「私達はたったの8日間です。短いでしょ?」
これから行くチャペルの事を言ったが、彼らは知らなかったようだ。
台湾では有名じゃないのかな?
4人でこの美しい風景を讃え、私達は車に戻ることにした。
彼らはこれからフィレンツェに向かうらしい。
45日とは・・・何の仕事をしてるんだろう?疑問には思ったが訊かなかった。
でも何と幸せな人達。
Garminが指示する通り、T字路を左に折れ舗装していない道を不安げに進む。
道は間違ってなさそうだ。
あと数百メートルという所に分岐があり、この先は道も狭い。
車で行けたとしてもすれ違いはできまい、と考えこの分岐点の空いた場所に車を置いて歩いて行く事にした。
これは大正解だったかもしれない。
そこから、二人で両側の景色を楽しみながらの散歩だ。
チャペルは分岐を過ぎれば小さいが直ぐに見えてきた。
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前方に見えるのがチャペルと農具小屋。もうすぐ到着 | |
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空はひらすら青い |
両側を良く見ると、片方は雑草、片方は麦が植えられている。
そうかぁ、ただの草原だと思っていたが、麦もちゃんと植わっているんだ。
だったら、全部麦にしてしまえば・・・と思うのは日本人的発想?
ひょっとして、一年ごとに畑を休ませているのかも?
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麦も植わっていれば |
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可愛い花も咲いています |
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近づいてきた |
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チャペルの真裏です |
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こんな景色も |
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騎馬はダメらしい |
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糸杉並木 |
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もう言葉も出ませんね |
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この道は走ってないなぁ |
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綺麗だな~ |
近くまで来るとチャペルの隣にある、農具小屋(といっても大きな建物だが)に大きなトラクターが止まり、その周囲では農夫と観光客とが話し込んでいた。
私達も挨拶をし、「チャペルの写真を撮っても良いか?」と尋ねた。
「もちろん、OKさ!」
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ついにやって来ました!Chappella di Vitaleta |
よく写真で目にするチャペルは表側であり、白い石のファサードである。
しかし私達が来たのは、いわば裏から訪れたわけで、建物はファサードを除き黄褐色の煉瓦造りになっている。
もちろん、表側に回り込み、近寄ったり遠ざかったりして何枚も何枚も写真を撮る。
来たぁ~!という感じだ。
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私もショボいスマホで撮ろうとしています |
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やはりスマホの写真は色が少しくすんでいるような・・・ |
向こう側(チャペルの表側・西)には車が通るような道は無く、轍もない草むした道らしきものがあるだけだ。その道らしきものを老人が杖をついて歩いてくるのが見えた。
見えたが、おそらく地元の人が健康の為に散歩しているのだろう、ぐらいにしか意識していなく、直ぐに忘れてしまった。
散々写真もとり、農具小屋の観光客は自分達の車で、農夫は大きなトラクターでそれぞれ立ち去っていた。どう考えてもあのトラクターとはすれ違うことはできないだろう。
ゆっくり車の置いてある場所に戻って行くと、途中で先程の杖をついた老人に追いついた。
挨拶をした。
杖ではなくストックだった。
着ている服も、プレスの効いたズボン、ネクタイこそ絞めていなかったもののワイシャツ姿である。
ということは、恐らくメインストリート(昨日私達が遠目に写真を撮った所あたり)から歩いて来たということらしい。
ニューヨークから来たアメリカ人で、日本にも何度も行ったことがある、と言っていた。
この秋にも来日して日光を訪れるらしい。
どうやら植物の専門家で、やたら周囲の植物に詳しい。
植物学者かな?
「近くに車が置いてあるので乗って行きますか?」と尋ねると
「それは助かる。ピエンツァに行きたい」
「私達はローマに向かうので、メインストリートまでで良ければ」
ということで、あぜ道をご一緒したのである。
メインストリートとのT字路に戻ると、彼は車を降り、すぐ後ろをトロトロ走って来たトラクターに手を挙げ、巧みなイタリア語で農夫と交渉し、トラクターに乗っかりピエンツァ方向に向かった。
恐るべしインテリ老ヒッチハイカー!
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With インテリ老ヒッチカーカー from New York |
さて、我々はSR2に戻り、アイコンその②「美し過ぎる糸杉並木」を目指す。
別にそこでなくても充分美し過ぎる景色で一杯なのだが・・・・・こんどはGarminをセットするまでもなかった。SR2沿いに見るも見事な糸杉が・・・・・
例によって、車を停車させる場所に一苦労だ。
しかし、なんとか路肩に車を停め、いざ撮影。
反対方向から来る車も、路肩に寄せて写真を撮って行く。
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ちょっともったいぶって・・・・ |
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ほらねっ! |
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やって来ましたよ |
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デデ~ン! |
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す、す、凄い! |
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後ろからも撮られていました |
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このアグリツーリズモの名称です。
簡単には予約取れないでしょうが・・・・ |
世界文化遺産「オルチャ渓谷」しかと堪能させて頂きました。
荒れ地だった所を、苦労に苦労を重ねて今の渓谷にしたと言う。
まさに敬意を表さねばならない。
さて今回、世界遺産を何カ所巡ったのかな?
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この街はどこだっけ? |
走るにつれ、田園風景も徐々にあか抜けないものに変わって行く。
そのままSR2を南下し、できればヴァーニュレージョにも行きたいと思って、麓のボルセーナの街までやってきたが、Garminが示すヴァーニュレージョへの道がどうも怪しい。
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ボルセーナ |
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ここから登れと言っているが・・・ |
時間も充分では無さそうだ。
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ボルセーナ湖 |
今回 ヴァーニュレージョは諦めてこのままローマに帰る事にした。
ヴァーニュレージョはどうも縁が無い。
前回、オルヴィエートに来た時にも行こうとしたが時間が無かった。
ローマへの道は、今来た道を引き返し、ボルセーナ湖沿いに西に進み、SS312、SS1と乗り継ぎ、最期は高速道路A12でフィウミチーノに向かう。
所々、景色のよい場所を通るのだが、その景色を楽しむチャンスをくれないのはこの五日間同じだ。
今度は2回料金所を通過したが、取られたお金は合計€4.6。
そう言えば、昔はイタリアは高速道路無料だったよなぁ、ということを思い出した。
まあ、メンテナンスも必要だから大都市周辺だけ料金徴収すっぺか?という雰囲気だ。
でも、道路そんなに傷んでないぜ?日本の高額さこそが異様に映る。
Garminは最後の宿泊地であるフィウミチーノにあるComfort Hotel Airportにセットしてある。
ここで一旦チェックインし、荷物を置いて、車で空港に行きレンタカーを返して、再びホテルに帰ってくるという算段だ。
一応Garminの指示通りに走る。
フィウミチーノの街は海辺の街であり、川にはクルーザーが停泊している。
ホテルには着いたものの、駐車場の入り口が分らない。妻がフロントに行って聞いてきたが、駐車場の扉を開けるボタンが分らない。もう一度フロントに行くと、掛りの女性がついて来てようやく開いた。
チェックインして部屋に入ろうとしたら、今度はドアが開かない。
カードキーを差し込むと僅かにブーンという音が聞こえるが、すぐにそれも消える。
業を煮やして、再び女性係員を呼ぶと、「このブーンという音が消えないうちにノブを回せ」ということらしい。
えーい!そんなの知ったこっちゃないわい!
このホテル、スタッフがフロントに一人だけというのはちょっと致命傷かな?要改善!
まあ、部屋は清潔でアメリカナイズされて気持ち良い。
とにかく、お水で喉を潤し、18時までに車を返しに行かねばならない。
おっと、ガソリンも満タンにしてかなきゃ罰金取られちゃうもんね!
空港に向かう道すがら当然ガソリンスタンドは有った。
ちょっと高いなぁ!とは思ったが比較なんぞしている余裕も無いので、そこに入った。
軽油1リットルあたり€1.7だ。€1=140円で換算すると238円/Lということになる。
この店が少し高いと書いたが、安くても€1.65とかなので、この店だけが暴利を貪っている訳でもない。
つまり燃料代がメチャ高いと言う事だ。
他のヨーロッパ諸国の事は分らないが、ヨーロッパでクリーンディーゼルが主流なのだという理由の一端が分ったような気がする。
また、ガソリンスタンドの料金表示看板はどこに行ってもディーゼル・オイルが一番上なのだ。
給油するお兄さんが人懐っこく話しかけてきた。
バングラデシュから出稼ぎに来て15年経過しているらしい。
自分はイタリアが多いに気に入っているが奥さんはそうでもないとか・・・
弟は日本に留学して、日本人と結婚して東京に住んでいるのだそうだ。
本当はもっと話をしていたかったけど、時間が気になるのでお金を払って先を急いだ。
バングラデシュのお兄さん、頑張って!
空港の駐車場までGarminに頼るわけにもいかないので、空港に入ったら全て自分で判断しなくてはならない。
とは言っても取り敢えずPマークを頼りに行けば何とかなるだろう。
途中、クラクションを鳴らされる場面もあったが(なにせ一方通行の道をトロトロと最左車線をはしっていたのだから無理もない)もう気にもしないのだ。
指定されたC棟もすぐに見つかり、所定のLocautoの場所にも無事戻すことができた。
隅から隅までチェックされたが、ひどいのは落とされた鳥のフンくらいなもので、結果全てOKだった。ホッ!
さて、今度は自力でホテルまで行かねばならない。
確か今晩のホテルは無料送迎バスが運行されている筈である。
しかし、乗り場までは調べて来なかった。
レンタカー・オフィスの近くに居たセキュリティのお兄さんに尋ね、空港職員と思われる紳士に尋ね、ようやくシャトルバスが集まっている地帯にやってきた。
フィウミチーノは空港の目と鼻の先の街だが、タクシーでは€20も取られると言う。
なら、空港近くなんぞにホテルをとる意味なんてあまりない。
なんと言っても無料送迎バスが良い。
大きなバスはローマ市内に向かうバスだ。
時々小さなバスが並んでいるいると、発車待ちの運ちゃんが居た。
運ちゃんにホテル名を告げると「24番だよ」と親切に教えてくれた。
しかし、24番には「Hotel Marriott」と書かれているではないか?
運ちゃんに再び「マリオットじゃないの?」と訊いたら「良いの良いの、24で間違いない!」
ホッとしながらも、何だよ、このいい加減さは?
こんな情報は来てみなきゃ分んないぞ!
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24番バス乗り場
40分に一本出ている |
暫く待つと小型バスがやって来た。
走り出せば10分程度でホテルに着いた。
使い方次第では、安くて良いホテルかもしれない。
明日は7時20分のバスで空港に向かう。