2015年12月10日木曜日

水彩画

前回の「貝」は終わったので、また新ネタに取組む。

先生は山のようにモチーフになる物を持ってくるので、我々はその中から選ぶ。
が、中には自宅から好きな物を持ち込んでいる人もいる。
私と同じテーブルで描いていた男性は、自宅から大根を持ち込んでいた。
小ぶりの小さな大根3本を形よく組合わせて描いていた。

どうも、男性は男性同士、女性は女性同士というふうにテーブルに着いているようだし、私も自然とそうする。
なぜ、女の人はあれほどまでにお喋りなのだろう?
女性は100%一人残らず、3時間目いっぱい喋りまくっているのである。
「孫の話」「テレビの話」「若い頃の話」・・・・聞く気は全く無いのだが、嬌声まで含む遠慮の無い声から逃げる術は無い。
あれだけ喋り続けながら筆を止めることなく描き続けているということは、ひょっとして凄い事なんじゃないかな?とも思ってしまう。
唯一、オバちゃんと一緒に終始お喋りをしている男性が居るが、あくまでも例外。絵にも自信がお有りなのだろう。
だが、それ以外の数少ない男性陣はほぼ無音。
私は、頭を掻きむしって自問自答してばかり・・・ひょっとしたら独り言をブツブツ言っているかもしれないが、この程度は許してもらおう。

モチーフを決めて、下書きをし、最初に色を入れる時、いつも私は苦悩する。
下書きをした段階では、たとえ線の無い所でさえ、私の頭の中で対象物は立体なのだ。
ところが、最初の色を入れた瞬間から、私のイメージは破壊されてしまう。

透明水彩は下の色を透過させる。それを前提にして描かなければいけない。
紙は白として使う。
だから、油絵には無い、さわやかな世界が広がる。それが水彩画の大きな魅力だ。
また、そうして色を重ねることで新しい色を作っていく。
だから、濃い色の上に薄い色を重ねても、薄い色は全然生きてこないのだ。
油絵のように、後から光を描き入れる、という訳にはいかない。
ハイライトなんぞは「色を乗せない」ことだ。
ということは、光って明るくなった色を先に乗せることになる。
これが最初の苦悩だ。
薄い色で描くと、イメージしていた立体感は完璧に消え、のっぺりした異物になってしまうのだ。
モチベーションも下がるよなぁ!!

特に今回は黒っぽい衣装を着た人形が主人公。
サテンのようなダブダブの黒い衣装を纏ったピエロである。
最初は勇んでテーブルの上でポーズを取らせたが、直ぐに後悔した。
あーっ、難しい!!
絶対、描けんぞっ!
ひだひだはいっぱい有るから、思いっきり濃淡はあるんだけど、どんな色を作ったら良いのか皆目見当がつかない。
ひだ多すぎる。
それに!それに!「黒は使わない」という原則がある。
なんで、こんな原則があるんだぁぁぁぁぁぁぁ!!
前にもここに書いたけど、白も使わないんだってさ!!
じゃあ、なんで絵具セットに白も黒もあるんだよっ?って感じ。
「濁るから」だって。分からなくはないけど・・・
襟の部分の銀色はどうやって描きゃ良いのさ?見当もつかない。

しばらくの間、この子と格闘です。

黒い衣装を描くのに、黒は使わない・・・・光の当たっている場所はともかく、影の部分にも使わない。
車がガレージにあるのに、歩いて行くみたいな(健康的で良いんだけど)?
システムキッチンがあるのに、隣で七輪で火を起こすみたいな?
エクセルに計算式入っているのに、後で電卓で検算するみたいな?
あぁ、良い例えが思い浮かばないけど、とにかく自虐的だぁ・・・!!

例えば、人物を描く時の肌色をどう出すか?
普通は、まあ白が基本で、赤と黄色を足すってのが相場じゃん?
でも、透明水彩の人はそんな事しちゃいけないの。
白は紙が白いでしょ?
そこに、思いっきり水で薄めた赤と黄色を塗る。
ピンクだなんてもってのほか。赤だけで描くんだろうな・・・でも絵具の中にはあるし。

だから、今回は
「どこから描けば良いんだ?」
「どんな色を使えば良いんだ?」
「え~い、分からん!」
・・・・ブツブツ言いっ放しだった。

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