この2週間、あのピエロに悩まされ続けていた。
あの投げ出した両脚に履いている、サテンのパンツがどうしても描けない!
まず、布らしい柔らかな風合が出せないし、サテン独特な光をどう描いて良いのかさっぱり分からない。
小さなスケッチブックでその部分だけ試し描きをしたが、何枚描いてもつかめない。
今日は「まぁ、いいや・・・もう一度、デッサンを丁寧にやりなおそう!」と開き直って出向いた今日の木曜会だった。
先生に助言をもらおうと機会を窺っていたのだが、大先生は話好きで他のテーブルに捕まって出てくる気配全く無し。
仕方なく、スケッチブックに脚の部分だけのデッサンを始めた。やっぱり全く風合が出ない。
何なんだ!何故なんだ!
私のすぐ後ろに若先生が手持ち無沙汰っぽく立っていた。
あー、もう我慢できない!!!
「ちょっと良いですか・・・・?」
「デッサン出来てるじゃないですかあ!」
え?できてる?ウソ?どこが?
「下地の色は塗られているので、その上からそのデッサン描き込んだら?」
はぁ?
鉛筆で描けば良いという。
Shit !
反則?逃亡?妥協?
気に入らないが、確かに今の自分の実力では、これしか無いのかも・・・。
ヨーシ!やってやろうじゃない!!
2時を過ぎた頃
「今日はクリスマスイブだよ~!ケーキあるからネ、ちょっと休憩してお茶しましょう!」
と号令がかかる。
家族以外の多人数で迎えるクリスマスイブなんて、小学生の頃の子供会のクリスマス会以来かも?
やはりウキウキ楽しい気分になる。
ケーキを置いてある紙ナプキンも奇麗です。 ナプキン貰って帰りました。 |
サンタさんが可愛いな |
さあ、描き込むぞ!
せっせとB系の鉛筆を走らせる、走らせる、走らせる・・・・
少しずつ、少し形になってきた。
休憩中の仲間が後ろから覗き込み「わぁ」とか「すごい!」とかお世辞八分の賛辞を浴びせてくれる。
これだよ、これっ!
お世辞と分かっていても、これが一番の励みなのだ。
大先生が横を通って「良い色になってるわぁ!」って。
遅いだろうが!っつうの!!
それに、訊きたかったのは、色の問題じゃないから!!
息が詰まりそうになり、目を他に向ける。
ピエロが寄りかかっている、陶器の水差しでも描きますか。
気分転換も良い。
何やら、弥生式土器のようにも見えるが、これはこれで自分の絵らしいと思う。
今日の仕上げに、再度ピエロの脚に挑戦。
鉛筆で描き込んだ所に、ダメ押しのように絵具を落とす。
これで、もう少し光と影がクッキリするかも?
今日はここまで。
まだまだ先は長いし、ピエロの顔という最大の難関があるが、今日の進展には一応の満足である。
一人一つ、と長い葉っぱ付の「蕪」をもらって帰った。
お休みの間に描きなさい、という意味だろう。