「参戦」とは決して大袈裟ではなかった。
殆ど戦場と言って良い程だったからだ。
ここ数日の報道に怖じ気づいた妻は昨夜棄権を表明した。
何しろ「駐車場が無い!」「電車もメチャ混み!」「お料理が途中でなくなるかも・・・」「チケット買うのも並んで大変」という内容ばかりだから無理もない。
とどめは「18万人の町に60万人が訪れる」・・・だった。
どう考えても異常!!
二日間とすると一日30万人が訪れる。18万人の町に30万人ということは人口に比べ1.66倍の人数が一日に訪れるということだし、5会場に分散しても6万人の人が一つの会場に溢れかえる。
しかも日曜日は雨との予想は誰もが知っている。誰もが今日行くだろう。
本当か?
私自身もいささか心が萎える。
しかし、独りなら独りで身軽に動けば良い、と考え直し単独で行くことに決定。
但し、車は止めて電車で行くことにした。やはり駐車場は不安だし、独りなら電車のほうがコストは安い。
棄権した妻に名鉄駅まで送ってもらうことにした。
8:25
名鉄知立駅に到着。
名鉄電車なんて何年ぶり?
慣れてないので、ナビの駅名入力を間違えた為、時間をロスってしまった。
この焦る気持ちは「愛知万博」以来だろか?
電車が見えたので、走ろうとしたが・・・満員電車の光景に思わず足が止まってしまった。
満員電車に全く乗り慣れていないのだ。
心が折れる、心がひるむ、心が・・・
いや、ここまで来たのだ。少しでも進むしかあるまい!
もう、私にとっての心の戦いは始まっていた。
8:40
豊橋行き名鉄電車に乗車。
奥に乗ってしまえば案外余裕はあるものだ。
Kindleを読みながら行けば大したことはなさそうだ。
9:25
名鉄「豊川稲荷」到着
改札口に出るのも、相当時間がかかる。
帰りのことを考えてManacaカードのチャージをしておこう。
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皆について行けば安心です |
半分ホコ天の道をぞろぞろ、全員が会場に向かう。
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下車直後の豊川駅 |
10分も歩けば一番近い「豊川稲荷大駐車場会場」に到着。
ここのチケット売り場は大きいので、まずはここでチケットを二千円分購入した。
計算どおり即座に買えたのは嬉しい。
まだ、開場したばかりなのか、スムースに事が運ぶ。
しかし、ここは即刻退去し目的の「稲荷公園会場」に・・・
第一の目的である「日生カキオコ」にまっしぐら。
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徐々に近づいて参ります。 |
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一生懸命作っています |
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期待以上に大きな牡蠣が乗っかっています。 |
9:45
並びはしたものの、スムースな流れで「日生カキオコ」をGet!
こんなにスムースなの?
味は、正直な感想を言わせてもらうと、強烈なソースのおかげで、せっかくの牡蠣の風味・味わいがあまり感じられなかった・・・私的にはちょっと残念!
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片手しか自由にならないので
マヨネーズをかけるのも大変 |
ここまでは余裕だったのだ。
問題はここからだった。
どうやら「カキオコ」を食べている間に状況は一変していたらしい。
いたる所に長い行列ができ、行列に並ぼうとしてもその最後尾が分からないのだ。
次のターゲットである「津山ホルモンうどん」の最後尾には「行列制限」と書かれ、担当者は「並ぶことはできません」と言っている。
一体これはどういうこと?
10:15
状況を把握できないまま、手近に見つけた「対馬とんちゃん」の行列を発見!
この際、四の五のとは言ってられない。
とにかく最後尾に並ぼう。
あの対馬だ。まさに国境の島である。
そういう理由からでもあるまいが、ミリタリー調の若者が多い。少なくとも全員が迷彩パンツをはいている。
しかしすこぶる元気が良い。
煙に霞む中を行列が進む。
TV局の取材も入っているようだ。
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作る方はゴーグルにマスク |
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お兄さん、何で? |
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コンバットのような若者が取材を受けている |
11:10
それでも一時間以内に『対馬とんちゃん』をゲット!
いや、これは美味しい!
「とんちゃん」ってよく分からなかったけど、豚の肩ロースらしい。
お肉も大きくて、野菜とも相性がよく、平凡と言えば平凡だけど、とにかく美味しかった。
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片手で料理を持ち、
片手で写真を撮るのは意外と難しいのだ。 |
食べている間に、四方八方から情報が入る。
どうやら「野球場会場」は既に会場そのものに入れないらしい。
どうなってるんだ?
11:35
再び「津山ホルモンうどん」の最後尾(?)を発見!
しかし先ほどと同様「行列制限」あり。
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大人気! |
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隣の津ぎょうざ
買わなかったけど、このピアニカ演奏が上手かった。 |
やはり「もう並べません」とのことだが、よくよく話を聞くと、ようやく意味が分かった。
決して「料理が無い」という状況ではないらしい。
通路をきちんと確保するために、行列をこれ以上伸ばさないという措置らしい。
だから、この看板以降の順序は保障しないとのこと。
意味が分かれば安心だ。
「順序は保障しない」とは言っても、そこは日本人。
きちんと前後の関係は保ったままアン・オフィシャルな行列が続くのだ。
マイクからアナウンスが入った。
当日チケット完売とのこと。
「もう無くなったの?」
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一旦、テリトリーに入ってしまえば
ゆったりしている。 |
12:15
岡山県「津山ホルモンうどん」ゲット!
列の長さの割りに早かったなあ。
ビールも買って少し落ち着いて食べるとしよう。
ビールがやたら美味しい!
初めての水分だ。
12:50
さて、そろそろこの会場を脱出して大駐車場会場に移動しよう。
その前に投票だ。
投票は割り箸でする。各会場にある投票所に行き、自分が気に入った料理の箱にその割り箸を入れれば良い。一人一票だ。
お箸を一本ずつ別の料理に投票しても構わない。
私は迷わず「対馬とんちゃん」に投票した。
最後の目的である「八戸せんべい汁」は昨年の覇者であり、今回は投票の対象とはならないらしいからだ。
13:00
「豊川稲荷大駐車場会場」に移動した。
「八戸せんべい汁」の最後尾を発見して並ぶ。
ここも行列制限だが、さすがに係員がきちんと説明しているのは素晴らしい。
13:30
「八戸せんべい汁」ゲット。
さっぱりして実に美味しい。
実は、昨年B-1グランプリの様子をTVで見た時にこの「八戸せんべい汁」が食べたいな!と思ったのが今回の参戦のきっかけになっているのだ。
この会場では、駒ヶ根の「ソースカツ丼」郡上八幡の「カレー」等、興味を引くものも多々あったが、地元に近い物はいつでも食べられる。
お腹もそろそろ出来上がっており、訪れる可能性の低い「八戸」が最優先だ。
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一味を振りかけて
野菜たっぷり |
同じ青森県でも八戸と津軽は仲が悪いという話を思い出した。
昔は津軽藩と南部藩と異なる藩だった。
言葉も、或る小さな川を境に、南部弁と津軽弁と違っており、我々には多分その違いは理解できないだろうが、地元の人にとっては今でも違和感があるらしい。
13:45
お腹いっぱいだ。
「料理の提供終わりました」というテナントもぼちぼち。
早いなぁ!もう終わっちゃったの?
私は会場を脱出し、帰路に着いた。
帰りだというのに、団子屋、メロンパン、ソフトクリーム、果ては鰻屋までが長蛇の列…
皆さん食べて来たんじゃないの?
今から会場に向かう人もいる。
豊川稲荷は敷地も広くなかなか立派だった。
子供のころ一度初詣で来た事がある。
当時は周囲の道路が舗装されておらず、私は車に酔ってしまった思い出がある。
14:15
名鉄「豊川稲荷」を出発。
帰りも同様、混んでいる。
15:10
名鉄「知立」到着。
少し早い時間だが、慌しい一日が終わったような気がする。
それにしても、4食頂いたが、どれも甲乙つけがたい美味しかったというのが正直な感想だ。
郷土の誇りを賭けて参加している気持ちが、こちらにも充分伝わってきたことが嬉しい。