2024年12月10日火曜日

2024.11.28 荻野に会いに

朝起きたらやはり喉がイガイガしている。カラオケしなくても喉は潰れるのだ。

今日は時間が許される者で荻野を訪ねる。残念ながら哲人はリっちゃんとの帰路の為、一足先にホテルをチェックアウトした。

四条から阪急電車で梅田に出る。
学生時代のみならず、よく乗った路線だ。
梅田の駅も歩いているうちに、少しレイアウトを思い出した。地下鉄は本町で中央線乗り換える。引きこもり且つ車生活の私には電車の乗り換えは実に体力的に堪える。チンペイもそうに違いない。
海の近くのコスモスクエア駅からは寒風吹きすさぶ中、大阪湾を眺めながら歩く、歩く、歩く。

ようやく着いた施設では職員の方たちも温かく応対してくれて木枯らしに翻弄された僕達の心もホッと和んだ。いよいよ荻野と面談だ。
職員に車椅子を押してもらっての登場かと思いきや、器用にも自由の利く左足で床を蹴り左手をヒラヒラ振りながら颯爽と登場。
得意満面とした荻野らしい表情だ。
安心した・・・しかし痩せたなあ。
話をすれば想像していたよりはずっと元気な印象。
彼独特の妙な関西弁も達者だし、得意の皮肉めいたバカ話も相変わらずだ。
外出が思うように出来ない事、いずれ透析を余儀無くされる事・・・辛いだろう事はいっぱいあるに違いない。全く他人事ではない。
ガバリの「医者の言うことは聞いておくものだ」という言葉が妙に腹に落ちて納得できる。
15分程度と予定していた滞在時間だが、気が付けば1時間も話し込んでいた。荻野も話ししてるうちに少し声のハリが出てきたような気もする。
僕達は再会を祈念しつつ辞去することにした。元気でいて欲しい。
会えて本当に良かった。
別れ際、そっと彼の肩に手を置いたら、痩せて骨っぽかった。
ちょっぴり切なかった。


帰りも海風に晒されるかと思いきや、職員さんに「トレードセンターなら直ぐですよ」と言われた。ナヌ?
歩いた・・・拍子抜けする程だ。

そして皆、色々な思いを胸に、其々の家路に着いた。
そして日常に戻って行く。
3日で4万5000歩。

奇跡の3日間が終わった。
気持ちは50年前に戻っていた。
いつの日にかどこかで会おう!
その日を信じよう!



2024年12月9日月曜日

2024.11.27 思い出の地を訪ねて

空は快晴。気持ち良い朝だ。

残念ながら俳句の主宰に超々忙しい森田はここでお別れだ。

さて、今日のスタートは同志社から。
今出川御門から御所に入れば、既に紅葉も始まっている。
それにしてもこんなにしっとりとした素敵な場所だったのか?
50年前には何の感慨も無く過ごしていた自分が実に恥ずかしい。






確かに、猿が辻も松が大きくなって、ここで輪になって歌うという事は難しいのだろう。
同女大お花畑(またの名をロマンスロード)の前を通って出町柳に向かう。
歩道が広くなっているのが嬉しい。市電が無くなった効用か?
同女横で 治療に通っていた歯医者が残っていたのが個人的には奇跡だったが「ほんやら堂」「月餅」は影も形も無い。「王将」も無くなっていたということは今時の学生は「王将」の餃子は食べないってこと?


しかし出町柳の商店街は以前に増して盛況だ。
当時は無かった京阪出町柳駅前を通り百万遍に。


JEANS SHOPの「HALF」は既に無い。
但し飲食店は圧倒的に増えている。逆に言えば当時の京大生は飲食はどうしていたんだ?学食がメインだったのかな?
古書店が昔に比べ減ってる感じがする。昔、見栄を張って三木清の「哲学入門」を買った事を思い出す。何行読んだか覚えがないが。
農学部前を通る。
当時は「ちょっとダサいなぁ」などと不届きな想いで通っていたが、今や最先端だ。自分の不明を恥じるばかり。頼むぞ、農学部!

思い出いっぱいの銀閣寺道では、「NOANOA」でお茶休憩。3年間をここで過ごしたが、この店は私は初めてだ。アパート近くでお茶したりイタリアンを食べるなどという事はとても贅沢の極みだった。
ここでもやはり各自がエピソードを繰り出す。誰かがそれに被せて後を継ぐ。実に話は尽きないのだ。
そろそろ銀閣寺を避けて哲学の道を南に向かおうか。
紅葉が美しい。
足腰に疲れが出てきたチンペイとそれをサポートするガバリはここから別行動をとることにした。チンペイの体力が気にかかる。

法然院は相変わらず地味に美しい。昔も観光客の穴場になっており、僕は何度も独りで静けさに心癒やされに来た思い出の場所である。





更に南下して哲学の道も終端に近づこうとする頃、事件は起きた。
気がついたら僕は落合と2人になっていた。後ろを振り向くと哲人と山田さん、更にはJason君が姿勢を低くして何かを凝視している。50m戻るということは100m歩くということだ。なかなか決断できずにいたが、向こうも状況は変わらない。やむを得ず戻ることにしよう。
なんと、哲人は階段を降り始めた。尋常ではない。
山田さんの傍らで高齢女性がうずくまっていた。体調が悪いらしい。
哲人は救急車を呼び、更に救急隊を先導しようとして、車道に出て待機しているようだ。
幸い若い医師が様子を見に来た。
さすがにプロである。要領よく女性から状況・病状を聞き出し、嘔吐に対応する。また女性の家族に連絡を取り、再度の連絡を待ってもらう。なかなか救急車は来ないが、ここでできることは何もない。
ようやく救急隊がきて、哲人も戻って来た。
救急隊が頑丈なシートで3人がかりで女性を階段から座った状態で降ろすことを確認して僕達はその場を離れた。聞けば女性は76歳とか。決して他人事とは思えない。
鹿ケ谷通に出ると、未だ救急車がパトライトを点滅させて停まっていた。まだ病院に向かっていないのか?不安が残る。

南禅寺から地下鉄に乗るころには既に2万歩を超えていた。
今日はカラオケは止めよう。さりとて他の愉しみ方は?
とは言っても食事だけで終わる訳もなく、行き当たりばったりのBarで喋り、コンビニで「最後のワン・ショット」を買ってホテルのロビーで喋り、挙句の果て「もう少し静かにして頂けませんか?」とホテル従業員に叱られた。やっちまった!
皆といると自分が高齢者である事を忘れてしまうのだから仕方ない。

2024年12月8日日曜日

2024.11.26 奇跡の再会

【プロローグ】
奇跡の再会は半年前、名古屋OB会終了後から企画されていた。

メンバーはガバリ、落合、森田、チンペイ、私ヒロ、弘前から哲人&リっちゃんご夫妻、更にデンバーUSAから山田さん(高橋)&Jason親子という7組9名。また、時間が許す者は療養中の荻野に会いに行こうという3日間の企画です。
50年前にはこんなメンバーで毎日仔犬のようにじゃれ合っていたのだ。

【奇跡の再会】
鉛色の空がビルの合間を重たく覆う正午。
集合したのは烏丸五条東横INNロビー。
狭いロビーには我々の声が響き渡るが、誰もそれを抑えようとはしない。
握手する、ハグする。

さて、チェック・インして荷物を預ければ出発だ。

昼食場所を探すのに少し難渋したが、これだけの人数だから無理もない。日頃団体行動に慣れていない老人は自由気儘に動き出すし、集まったとしても逐一人数を数えないと不安だ。

昼食後に向かったのは今日の第一目的、同志社大学EVE祭。
地下鉄「今出川」を降りる。
図書館の建替工事現場の脇を抜けてキャンパスに。パンデミック後、露店は復活してるようだ。
それにしても図書館を建替えとは・・早くないか?我々が学生時代に新築したはずなのに。
いやいや、あれから50年。つまり築50年の代物だったということらしい。このメンバーでいると時間経過がおかしくなる。

明德館前には立派なステージが設えられ、そこではアイドルっぽい女子がパフォーマンスしてる。
今はこういうサークル活動もあるのか?時代だね。
だが我々が目指すはS22。
それにしても何の音も聞こえて来ないではないか。
ありゃ、りゃ!?
近くの学生に訊いてみれば今や教室でライブハウスなどはやっていないとのこと。じゃ、どこで演ってんの?
情報を集めてる間に雨も降り出した。
どうやら明德前を含め3カ所のステージに分散し、時間割を決めて各サークルが出演するというシステムらしい。今日のトンガリは梅林館だ。
本降りになった雨を避けて寒梅館に急ぐ。
ロビーでおしゃべりをしてトンガリの出番待つ。
そろそろ時間だ。

ステージではF.S.S.(Folk Song Society)なるサークル最後のバンドが演っていた。
どこがフォークソングなん?
会場はどう見ても学校施設というよりスタンディングのライブハウスに近い。
プロらしいミキサーも奥に陣取って、バンドの入れ替え時には調整作業に余念が無い。
さあ、いよいよ「とんがりぼうし」の演奏が始まった。
リズムは良いね〜!
女子ドラムスが昨今は多いが、ここもそうか。
ボーカルも女子・う~ん、可愛いから許そう。
音は?・・ちょっと違うぞ。
エレキギターは当然だとしても、ボーカルはどうした?
声量は無い、音程はアマい、ハモの片鱗は全く無い。せっかく日本語で歌っているのに歌詞が全く分からない。
観客の殆どは身内の部員だろう、右手の拳を振り上げて身体を揺らしている。身内ノリ?
トンガリに限らずサークル間の音の違いが全然感じられない。(全部のバンドを聴いた訳では無いが・・)
全体練習などは無いのだろうし、バンド活動ができればサークルはどこでも良いのかも知れない。
僕達の直後からそんな傾向はあったのだから今更なのか?
少し落胆した僕達はライブを早々に切り上げ、雨は相変わらず本降りだったが、夕食の予約時間を早めて早々に四条に繰り出すことにした。

ここは夜のツアコン落合の真骨頂。
さすが6年間の住人。良い店を知っている。料理も上手い。



あっという間に食事も終わる。
次のカラオケも彼の案内。
第二のメインイベントか?
C.S.N&Y、Nitty Gritty.、 Eagles、はっぴいえんど、ディランⅡ、吉田拓郎・・・歌った!歌った!
みんな歌った!延長2回。
でもいつの間にか、僕達は古い水夫になっているんだろうか?
そう、確かに新しい海の怖さは知っている。

翌朝、喉がガラガラだったのは言うまでも無い。